おれのIT日記

2025/11/07 (金)

OpenWrt

GL-iNetのトラベルルータAR750を完全なブリッジ/DHCPクライアント専用APにする手順


なんでこんなものを買ったのか、これは一体なんの役に立つのか、と自分で首を傾げる物体が部屋から出てきた。
標題の、ちっちゃな白いルータである。

我が家のWiFiアクセスポイントは、国防的に危険きわまりないTP-Linkの製品を使っておる。安いからだ。だが、日本を愛し守りたい健全な国民としては、そろそろ使うの止めにゃ、と漠然と思っていた。が、ま、こいつもブリッジモードにとどめ、DHCPはすべてYAMAHA RTX1200の一元管理として毎日チェックしているから、ま、いいんじゃねえか? と、お茶を濁している。(注・もちろん危惧すべきポイントがDHCPの使用有無などにとどまらないことは重々知ってます。でもお金ないんだもん)

750をよくよく調べてみると、APモードでも動くし、中継器にもなる、いっぱしの今どきのルータなんだが、とにかくコンパクトだ。トラベルルータと称している。
これ、全く使わずに数年ほったらかしにしていたんだが、役に立ちそうだ。
ただ、結論から言うと、これ単体では電波が弱いので使い分けが必要だ。リビングでもスマホだと受信できるが、YAMAHAのネットワークレシーバ R-N602などは、電波を見つけることもできん有様。
750は消費電力が少ないから、同じ仕事部屋内でスマホを使う程度なら、消費電力の少ないAR750で充分なので、怪しいTP-Link機は電源断。
より強力なWiFiが必要なときだけ、中国共産党に何か送ってるかもしれないTP-Link機の電源を入れる運用に変えた。
さて、おれは初めて知ったのだが、OpenWrtという、Linuxベースの、なんですか、ルータのためのフリーのファームウェアというのか、そんなものがあるんですね。
この750は、まさにそれを使っていて、sshでログインしてLinuxライクな操作ができるのである。
設定もたとえば/etc/init.dとか、どこかで聞いた、なじみのある構成。
聞いたことのないコマンドもあるが、何をするものかは名前で察せられるし、そもそもCLIでいじくれること自体が、おれには大変楽しい。
750は、一般的ルータ製品と同様、WebのGUIもついているけど、なんだか頼りなくて、特にコマンドいじりを始めた後で眺め直すと、出来ることが凄く限られていて少ない。コマンドで操作した方が、完璧にすべての挙動をコントロールできる。


先日、安価に入手したYAMAHA RTX1200は、優れもののルータだが、独自の操作体系だし、ファームウェアバージョンによってコマンドが結構変わっているようなのだ。たとえばChatGPTが知っているRTX1200のコマンドは新旧入り混じっているようで、3回に2回ぐらいの確率で文法エラーになり使い物にならん。だから、自力で、マニュアルと首っ引きになってしまう。OpenWrtはLinuxベースだから覚えやすいし、750はbusyboxを使っていて、使い慣れたコマンドが有る程度収録されており、老化して勉強の労を厭うおれも、安心して試行錯誤できる。
なんでも世の中では、Buffalo、I・O DATAあるいはELECOMの市販ルータのファームウェアをOpenWrtに書き換えて喜んでいる向きも居るのだそうで。
楽しそうですな。知らなかった。

■ 発端と背景

現在、ひかり電話を使っているマンションFlets、他の業者に乗り換えようかと思って、まず手始めに、業者レンタルのホームゲートウェイ(つまりONU+内蔵ルータ)に頼らないための練習をすることにした。ONUだけ新しいのに変わっても繋ぎ変えて、最低限の対応作業だけで家庭内ネットワークが維持できるように自前でYAMAHA RTX1200を導入し、順次、こいつの配下に移している……というわけである。RTX1200はずいぶんと旧式だが、性能は安定しており、情報もしっかり出されており、連続稼働しても信頼性が高い。そして何より、3000円ぐらいで手に入るというのが大きい。

現在は、ホームゲートウェイが構成する従来LANと、試験導入中のRTX1200が構成する新LANがあり、二段ルータ構成である。
これは、RTX1200におれが習熟して、ホームゲートウェイのレンタル契約を止めるまでの暫定構成である!! と自分に言い聞かせている。
いずれ、ホームゲートウェイの内蔵ルータから抜線して、直接、ONUとRTX1200を繋いで試してみたいもんだ。
(そうそう、我が家の契約している光はPPPoE接続のみ、ケーブル的にも、大したスピードは出なくて2ギガプランは提供されてない場所。だから我が家のルータを仮に自前で置き換えるならRTX1200で充分、と結論したが、お金持ちで新しいマンションに住んで2ギガプランが適用されている読者なら、おのずと観点が違ってくるだろう)

狭い我が家だから、LANは2つあればお腹いっぱいで、3つめなど要らない。
したがってAR750は三段目のルータではなく、RTX1200配下の忠実なブリッジとなって頂きたいところ。
だが、なんとAR750は言う事聞かないんですなぁ。
いや、動作上すごく困る不具合というわけではなく、アドレスが思ったのと違う、と言う話。
WebGUIやssh接続が繋がらず、「?」となって気づく…という程度だが、なぜだろう? と考え出すと気になる。
たとえばDNSを立てて、定期的にそれを更新するという手もあるかもしれないが、おれはそこまで必要ないし、そもそもの原因を追究したくなるタチなのだ。
かの侵略独裁国家の息がかかったTP-Link機ですら、おとなしくブリッジモードで動作しているのに、なんたることだ。
AR750自体も、RTX1200のDHCPクライアントとなって、固定アドレスを受領してもらいたい。

■ 起きている事象と、やりたいこと

RTX1200のDHCPには、しっかりMACアドレスベースで固定IPを登録しているのに、AR750はそれを無視している。
AR750のWebGUIで、明確に「APモード」を指定しており、画面上は、
「わたしはAPモードです」
とドヤ顔しているのだが、どうもGUIだけでは、おれの思った通りの動作にならない。

つまり、こういうことだ。
・DHCPはRTX1200のみに行わせたい
・AR750自身もRTX1200からIPをもらってほしい
・AR750に接続するLAN/Wi-Fi配下の機器もすべてRTX1200からIPをもらってほしい
・AR750は頻繁に節電のためスイッチを切るから、再起動しても設定保持するのが必須

いずれも、もうひとつのWiFiアクセスポイント、TP-Link機では(生意気にも)、簡単に実現できていることだ。

■ 対応作業【1】AR750にSSHログイン後、dnsmasqを無効化(DHCPサーバを止める)


dnsmasq は OpenWrt 標準の DHCPサーバ兼DNSフォワーダ。
AR750 がAPとして使われる場合は不要なので、完全に無効化する。

■ 対応作業【2】ネットワーク設定(/etc/config/network)を調整


WANを削除して、LANブリッジ(br-lan)のみ残す。
proto='dhcp' にすることで、RTX1200からアドレスを受け取る。

■ 対応作業【3】再起動

rebootする!

■ 対応作業【4】再起動後の確認

うまく行ったか確認する。

br-lan inet addr:192.168.xxx.xxx Bcast:192.168.xxx.255 Mask:255.255.255.0
のような感じで、RTX1200のDHCPが指定した通りのアドレスが表示されていれば、うまく行ったということだ。

■ 対応作業【5】永続確認


で、次の3点を確認する。
network.lan.proto='dhcp'
network.lan.type='bridge'
network.lan.macaddr='94:83:c4:xx:xx:xx'

以上である。

なぜGL-iNet製品では、こんなにうまく行かないんだ?!とChatGPTに尋ねると、いや、不具合というより設計ポリシーみたいなもんだ、という。
例えば、今回初めて気づいたが、TP-Link機では、RTX1200からWANポートに挿して、APモードというかブリッジモードで動作させていた。
おれはそれを疑ったことがなかったが、GL-iNet製品で同じことをする場合、WANポートではなく、LANポートに繋ぎ変えるのが正しい。
なぜTP-Link機は動くんだ、習近平の失脚を狙う連中の布石か? と尋ねると、デフォルトでブリッジするように作られている、ただし、Linuxの発想では、GL-iNetの設計思想の方が自然で正しい、と、わかったようなわからないようなお答え。

sshでコマンドを駆使して状況を確認するのが苦にならないひとには、OpenWrtを利用した製品は、割と安心して楽しめる世界です。もちろん、こんなのメーカー保証外に決まってるんだが、リセット一発で初期化できる、頑丈なおもちゃだからね。他にもこうやって接続できるものがありはせんかと、家中の機器にテストをして、無駄な時間を過ごしてしまった。(我が家ではGL-iNet製品だけだった)

しかし、こんなこと、以前のように、ネットで他人のblogや、あるいは本をめくって調べていたら、おれには数日かかりそうだ。
AI、サマサマです。
……と言いつつ、じゃ、おれは、誰のために日記を書いているのかと笑ってしまうが、そう! 自分のためですよ。
将来、こんな体験をコロッと忘れ去って、手元の白い小さなルータの底面を5秒間押して完全初期化してしまった時に、途方にくれないように、だ。